エクササイズとフィットネス:正しいエクササイズを選ぶ

メルクマニュアル日本語版より

正しいエクササイズを選ぶ
エクササイズにはたくさんの種類があり、それぞれに長所と短所があります。たとえば、ウオーキングは関節への負担が比較的小さくてすみます。これは、ウオーキングの間は常にどちらか一方の足が地面に着いているため、足が地面を踏むときの力が、その人の体重をはるかに超えることがないためです。しかしその分、ウオーキングで消費するカロリーはランニングよりも少なくなります。筋肉が水の浮力で支えられるため、水泳で肉離れを起こすことはめったにありません。しかし、水泳は骨に負荷がかかるエクササイズではないので、骨粗しょう症の予防にはなりません。サイクリングは、なめらかな円運動でペダルを踏むので筋肉に衝撃は生じませんが、乗るにはバランス感覚が要求されますし、交通事故の危険と常に無縁でいられるとは限りません。
正しいエクササイズを選ぶということは、その人にとって楽しく、安全で、継続できるエクササイズを見つけるということです。

ウオーキングは、年齢を問わず、たいていの人にとってバランスの良い運動です。定期的なウオーキングプログラムで健康を保っている高齢者はたくさんいます。しかし、歩く速度が遅いと健康にはそれほど役立ちません。
関節が不安定な人や、関節に重いけががある人は、ウオーキングは難しいでしょう。

水泳は脚、腕、背中の体全体を鍛えることができ、関節や筋肉に大きな負担はかかりません。水泳は筋肉や関節に障害のある人に勧められます。自分のペースで、好きな泳ぎ方で泳げば、徐々に30分以上続けて泳げるようになります。しかし、体重を減らすことが目的なら、水泳は最適な選択とはいえません。水の外での運動の方が効果的ですが、それは体が空気で囲まれているので体温が上がり、代謝が18時間は活発になるからです。この過程で、運動中だけでなく運動後も余分なカロリーが消費されます。対照的に、水は体から熱を奪ってしまうので体温が上がらず、活発な代謝も水泳の後までは続きません。

サイクリングは心臓血管機能の強化に適した運動です。ペダルを踏むことにより、太ももの筋肉が強化されます。定期的にサイクリングすると、地形の変化に対応してバランスを取ることに挑戦し、楽しむこともできますが、交通事故の危険も伴います。