なぜ今、「ナラティブ」なのか

日経メディカル オンライン

なぜ今、「ナラティブ」なのか
日経メディカル誌が、「ナラティブ・ベイスト・メディシン」(Narrative-based Medicine:NBM)を初めて取り上げたのは、2002年4月のこと(右写真)。それから5年が経過したが、当時の予想通り、このところ医療の世界で「ナラティブ」や、その訳語としての「語り」という言葉を聞く機会が増えてきている。特に看護の世界では、学会などでもシンポジウムのテーマとして繰り返し取り上げられるなど、かなり浸透してきているようだ。
ナラティブ・ベイスト・メディシンに詳しい、富山大学保健管理センター長の斎藤清二氏によると、医療従事者が患者のナラティブに注目するようになってきた背景には、大きく分けて2つの要因があるという。1つは、エビデンス・ベイスト・メディシン(Evidence-based Medicine:EBM)を推進してきた人たちが、エビデンスを補完するものとして、ナラティブに目を向けるようになってきたこと。もう1つは、患者の QOLや満足度を重視する流れの中で、医療従事者と患者の間のコミュニケーションをより豊かなものにする必要性が増してきたことだ。さらに昨今、入院医療から在宅医療にシフトし、患者個々の希望や価値観を重視した医療が広まっていることも背景にあるだろう。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200712/505071.html