技能オリンピック、日本はトップだったけど

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技能オリンピック、日本はトップだったけど
2007年11月に静岡県で第39回技能五輪国際大会(隔年開催)が開催された。日本は16種目で金メダルを獲得し、2位の韓国11種目、3位のフランス5種目を大きく引き離した。日本は前回の2005年ヘルシンキ大会に引き続き、金メダル獲得数ではトップであった。
日本は1970年代初頭までは技能オリンピックで圧倒的な強さを発揮し、金メダル獲得数の常勝トップであった。だがその後は韓国などに押され、不振を続けた。「日本の技術ももうダメか」と、発展途上国に対し技術的優位性を失っている象徴のように言われた。
この数年日本の金メダル数が増えているのは、デンソー日立製作所日産自動車セイコーエプソンなどの企業が「ものづくり日本」の名誉のために予算を取って、社運を懸けて取り組んでいるからである。
最近、日本のものづくり力を復活させようという機運が高まってきている。企業によっては技術継承のために特別の研修コースを作っているところもある。教育界においても、ものつくり大学がようやく軌道に乗り始めたし、日本工業大学のように自前で工業技術博物館を開き、企業を組織して、ものづくりの大切さを訴えようとしている大学もある。また日本機械学会は「機械の日」を制定し、機械工業に親しむ人材を育成しようと活動し始めた。
今のように、特殊な訓練をしないと高位の得点を得られない技能オリンピックは確かに異常ではある。技能オリンピックの結果が重要なのではない。大切なのは企業や政府が、世界を相手にものづくり力を競うという意識を持ち続けることだろう。