可愛い劇薬

ルノー・ルーテシアRenault Sport 2.0試乗記

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ルーテシアは車格的には日産のマーチに相当する、ルノーのBセグメントのコンパクトカー。そのルーテシアに7000回転まで回るようにチューンされたエンジンを積み足回りを引き締めた車がRenault Sport 2.0(以下RS)。通常のルーテシアでもハンドリングの良さには定評があったと思いますが、それにハイパワーエンジンを積み足回りをさらにクイックにしたRSはホットハッチの名に恥じないといえるでしょう。ファニーな外見とは裏腹にその走りは過激そのもの。ちょっとラフにアクセルを踏み込んだだけでフロントタイヤをスライドさせハンドルがとられながら急加速する。そんなFFの悪癖でさえも個性と思わせてしまう魅力がこの車にはあります。試乗ではいつも走り込んでいる東名高速と家の近くの広域林道を走りました。
ワインディングではマニュアルに馴れていない僕でもいつも乗り慣れているメガーヌより2割り増しのスピードで駆け抜けていくことが出来ました。鋭い加速とよく聞くブレーキ。そして思いのままに切れるハンドル。乗りこなしたときにはどんなスピードが待ち受けているのか恐ろしいほどです。
高速道路ではそのクイックなハンドリングが災いして高速安定感に欠ける感じ。メガーヌが知らない間にスピードが出ているのに対して、RSは同じスピードでも緊張感がより高い。短距離の移動ならともかく高速道路を利用しての長距離移動では少々の疲労は覚悟しなければ行けないようです。
内装に関してはやはり車格相応といった感じ。アルミペダルやオートエアコンなどが備えられてそれなりに豪華ではありますが、細かいパーツの作りはやはりちょっと安っぽい。それに対してシートの出来は非常に良い。通常のルーテシアでもメガーヌより質がいいのではないかと思えるのですが、それよりもさらにいい。ただ、贅沢を言うのであれば、これだけの高性能車であるのだからもう少しサポートの良いシートがほしいところです。少なくとも僕はサポート不足のような気がしました。いっそのことバケットシートにしてしまってもいいような気がします。
値段はメガーヌの2.0より高いですが、中身はそれに見合うだけのものはあります。ただし、それは走りに特化した非常に贅沢なもの。3ドアハッチなので実用性は確保されていますが値段を考えると必要最低限といったところ。自分はそこまで走りに特化した車を持つことは考えられないですが、面白くて刺激的なものを求めている人にはいい選択肢の一つになると思います。正直一瞬理性をわすれてほしくなってしまいました。